5/23は。(SS)

5/23は。(SS)
キスの日だと、某架月さん(伏字になっていません・笑)が日記で仰っていたので(笑)、例に漏れず脳内で萌えました(笑)。

ので。
滑り込み突発SSです。絵日記にしたかったけど間に合わず・・・_| ̄|○
最初未来捏造で作っていたんですが、増田少将の扱いに困って(酷)、作り変えました(笑)。

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「今日はキスの日らしいよ、鋼の」
「・・・・・・・・あ、そう」
報告書を出しに来た子供に言うと、奥手ならしい彼は一瞬口篭ってから何事も無かったかのような顔で紙束を執務机に置いた。

「キスの経験は?」
「・・・」
「旅をしていて良い雰囲気になった少女は居なかったかね?」
「・・・」
「・・・そうか、した事ないのか」
「っ、アンタに答える義務はない!」
黙していた子供が、挑発に乗った。
「したかしていないか位言えるだろう?」
「言う必要ないっ」
「そう頑なだと、していないと思うぞ?」
静かに立ち上がって、エドワードの隣に立った。
「だから、してようがしてまいが大佐に関係ないだろっ?!」
しつこいな、と睨みつけて来る金瞳に
「関係あるよ」
「なんで・・・―――」
吸い寄せられるように顔を寄せ、口付ける。
カサついた、でも子供特有のふっくらとした唇。
軽く触れ合わせて、2、3度啄ばんで。
ついでとばかりに丸みの残る頬を撫でて離れた。
睨んでいた金瞳は丸く見開かれたまま。

「・・・やはり初めてか。キスする時は目を閉じるものだよ、鋼の」

至近距離で目の下を指でなぞると、バッと子供が離れた。
「な、な、なにして、」
「キスの日だと言ったろう?」
「だからって、何で、オレ、」
「関係あると言ったろう?」
「かん、けい?」
「キスの日、なんて言われたら、好きな子とキスしたいだろう?」
「は?」
「だからキスした」
「え、」
「初めてで良かった」
笑うと、エドワードはカッと音がするかのように赤くなった。
「は、初めて、とか、わ、わかんねぇだろ!」
まだ往生際悪くそんな事を言う子供に、きっと初めてに違いない癖にと思いながら---否、自身に思い込ませていながらも、思わず声が低くなった。
「―――誰かとキスしたのかね?」
「・・・っ」
「誰と? いつ?」
「〜〜〜っ」
顔を赤くして、動揺してか根が真っ直ぐだからか。
したと言う嘘を、答えられない彼。
「良かった」
「な、にが」
「君の初めてが貰えて」
「っ、うるせぇっ! そうやってからかってんなっ!」
「からかってないよ」
「嘘付け」
「言ったろう? 好きな子としたい、って」
「だから、からかっ・・・」
「君が好きだよ。―――エドワード」
「っ!」

真っ赤になっても逃げ出さない彼。
赤い顔は意味を汲み取ったのだろう。
そして逃げ出さないのは・・・―――根が真っ直ぐだから。
だから、きっと―――。


来年のキスの日には、何百回目のキスだと良いなと思いながら、
今度は反射的に目を閉じた彼の柔らかな唇をもう一度啄ばんだ。

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