お盆の警視正。

お盆の警視正。
何となく書き始めてみたり。原稿に詰まったとか詰まったとか…!
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ええと、長くなっちゃったので続きます。

あ、オフライン情報、少々修正致しました。8/10〜通販一旦休止致します。
拍手下さった方、ありがとうございました!




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☆キミの瞳を逮捕する!シリーズ。



夏休み。
暑さも佳境に入ったある日。
「兄さん、ウィンリィが…あ、茶碗ボク洗うのに」
「良いよ、ついでだし。で、何?」
「今年のお墓参りの日程なんだけど」
「あー…。そうだなぁ」
弟からの問いかけに、夕飯の後片付けをしていた手を止める。
今は亡き両親のお墓参り。ばっちゃんやウィンリィ達ロックベル家、イズミ師匠夫妻もお参りしてくれるので、お盆の日と言うより都合が合えば全員で行っているのだ。
人が多い方が楽しいかな、とか、思って。
そう言えば皆のスケジュール合わせをしていなかった。
「師匠は夏休みで週末から旅行だって言ってたから・・・」
「あ、そうなんだ。ロックベルのおじさんとおばさんは今年はお互いお休みバラバラなんだって」
「そっか。病院忙しいもんな。じゃあ・・・」
言いかけた所で、来客を告げるチャイムが鳴った。
「あ、ボク出るよ。はーい?」
「ちゃんと相手確認するんだぞー?」
アルフォンスがインターフォンに出て、それから玄関へ向かった。
宅配便かな?と思いながら布巾をかけ、冷蔵庫から麦茶ポットとグラスを2つ出した。
「こんばんは! エドワード君!」
バン!とリビングの扉を開けた男は軽快に挨拶をした。
「…」
夜なんだからもう少し大人しく出来ないのだろうか、今日はバイトじゃないのにどうしてここに来るんだろう、て言うかアルフォンスよ相手を確認しろと言ったろう?と、一瞬の内に思考が巡るが。
「…こんばんは」
「何だ何だ元気がないぞ! 夏バテか? いや、夏休みでバイトの送迎が無いから私に会えず寂しい想いをしていたからか! すまない、恋人の君にそんな想いをさせて…」
「いや、夏バテでいーから。寂しいとか恋人とかないし」
くっと嘆く男に冷たく突っ込む。夏バテしたらもう少し静かになるんじゃないか、この男。
「で、何?」
用件は何だ、と言うと、男は手にしていたものを掲げた。
「これを君達に!」
「え?」
ドシ、とこちらの手に渡されたものは、緑の…。
「スイカ?」
「ご名答!」
網の紐を持ったまま、器用にパチパチと拍手をする。…重くさせないように紐を持っていた事に気付いた。小ぶりとは言えどうりで軽かった訳だ。
「美味しそうだったのでね、お土産に」
「あ、えーと、どうも」
ニコリと笑う男。スーツ着てスイカを持って歩いていたのだろうか。
「わぁ、ありがとうございます!」
事のやり取りを聞いていただけのアルフォンスも、お土産と聞いて礼を述べた。
「今年は暑いからね。夏バテしないように」
「…良く知ってんな。料理しない癖に」
スイカは身体を冷やす作用がある。だから旬のものを身体に取り入れるのは良いのだ。
「まぁ受け売りだがね」
ははは、と笑って、ひょいとスイカを取り上げキッチンへ置く。
「では、遅いしお暇するよ。お邪魔したね」
「え、もう帰っちゃうんですか?」
玄関へ向かおうとするのに、アルフォンスが驚いたように言う。自分もいつもよりも余りにアッサリしているのに少し面食らった。
「え、アンタ本当にスイカ置きに来ただけなのか?」
「うん? 君に食べさせたいなと思ったのでね。あぁ、勿論毎日会えない君の顔を見ると言うのが一番の目的だけれどね!」
スイカはついでかな?といつもの調子で笑う。
「えー、折角だから一緒に食べませんか?」
アルフォンスが誘うのに、ロイがチラとこちらを見る。
「…一玉なんて二人じゃ消費しきれないし、折角貰ったのにダメにしちゃったら悪いし、アンタも一人暮らしだから滅多に買わないだろ? …食ってけば?」
お持たせだけど、と続けると、ロイの顔が輝いた。
「良いのかい?!」
「おう。そこ座れ」
「ありがとう…!」
「寄るな」
諸手を広げて歩み寄って来ようとする男にピシリと言うと、しょぼくれた犬のようにスゴスゴと戻っていった。
「あ、マスタングさん、上着こっちにどうぞ」
「ありがとう」
「あ、アンタ、メシは食ったのかよ?」
座った男に一応声を掛ける。いつも食事の優先順位が低いのだ、この男。
「ちゃんと食べたよ。…接待だったんだ」
「あ、それで暑いのに上着とネクタイなんですね」
「豪華な料亭らしいけれど私は君の料理の方が好きだなぁ」
しみじみと言われるのに少し照れるが(こいつの行く料亭はかなりレベルが高いのに、本気で自分の料理の方が好きらしい…、のにちょっと居たたまれなくなるだけだ)、無視して菜切り包丁を出した。スイカ

は直前まで冷やしていたのかヒヤリとした温度を返して来た。

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