ホワイトデーネタ(SS)、他。

ホワイトデーネタ(SS)、他。
うわぁ、準備終わってません!
昨日ウッカリ残業でした・・・。あぁ・・・○| ̄|_
そんな訳でカードは無いです・・・○| ̄|_
ガンガン本誌語りもしたいんですが、時間が!
友達は昼着位らしい為、スペースではしばらく一人なので、良かったら話振ってやって下さい(笑)。食いつきます(笑)。


↓昨夜帰って22時過ぎに夕食取ったら腹痛にり、痛みに耐えつつ時間勿体ないから横になりながら作った作(そして途中で寝落ちして気づいたら3時半・・・。普通に寝れば良かった)。
今(14日夜)投稿しても多分反映が15日になりそうなんで、明日の会場入り待ちの暇つぶしにでも・・・(^^;)。

−−−−−−−−−
『ビターアンドスウィート』



「鋼の」
「ぅんぁ?」
執務室にて。
渡された資料に目を落とした瞬間に呼ばれて、集中しようとし始めていた意識が中途半端に霧散し、思わず中途半端な返事になった。
「んあ?」
緩慢とした動きで隣からの声の持ち主の姿を捕らえると口に何かを放り込まれた。
「ん?」
甘い、香りと味わい。
「美味いかね?」
条件反射で口をモゴモゴさせると、目の前の男は薄いブルーの小振りの箱を掲げた。
「ふはひ」
クラッシュしたクッキーとオレンジピールとチョコレートの程良いバランス。なかなか上品な味だ。
「そうか」
発音がちゃんとされていなかったが、意味が通じたロイが満足したように笑った。
食べ終え、中尉が用意してくれていた紅茶を一口飲んで。
「なにこれ。誰かのお土産?」
どうぞ、と箱ごと渡された菓子を見て、視線を男に移す。
「いや。私が買ったんだ」
「アンタが?甘いの余り得意じゃないんじゃなかったか?」
珍しい、とツッコむと。
「君は好きだろう?」
と、男の長い指先が菓子をヒトツマミして、再びこちらの口に向けてきた。
「いや好きだけどさ」
一瞬悩んで大人しく2個目を食べる。うん、美味い。
「わざわざ大佐自らお茶請け買いに行ったのか?」
「お茶請け目的では無いが、もちろん私が買いに行ったよ」
意味ありげに笑う男に。
「なんで?」
何がもちろんなのか分からない。
「そりゃ君へのお返しだからね」
これでも色々吟味したんだ、と笑った。
「は?お返し?なんの?」
まったくもって意味が分からない。日頃のオレ様への感謝だろうか?
・・・悔しいけどそれは無いな。
「なにって・・・バレンタインのだが」
今度はロイが意味が分からないと言う顔をした。
「・・・バレンタイン・・・?あぁ今日はホワイトデーか」
ようやく糸が繋がった。
しかし。
「なんでお返しなんだ?オレ大佐にバレンタインあげてないし。っつかバレンタインありえねぇだろ、男2人で」
貰う貰わない以前に、バレンタイン行事に関係のある間柄じゃない。
はて?とロイを見ると、少しばかり驚いた顔をしてガバリと肩を掴んできた。
「ちょ、なに?!」
「・・・いやだって君、先月チョコレートくれたじゃないか?!」
「はぁ?やってねーよ!」
「いや、確かに先月この部屋でアーモンドが細かく入ったチョコレートをくれたじゃないか」
「アーモンド・・・?」
からかうでもなくロイが言ってくるので、エドワードは記憶を辿った。
「アーモンド・・・アーモンド・・・?」
「ほら、これが証拠の空き箱だ」
ロイがサッと立ち、引き出しから赤い箱を取り出して再び隣に戻ってきた。
「アーモンド・・・あ。あーーー、思い出した」
「だろう?」
赤い箱に見覚えがあり、合点が行くとロイがそうだろう、と頷いた。
「まさかバレンタインに君からチョコレートを貰うなんて。・・・実はその、私も前から君の事が・・・」
「そうそう北に行った時にチョコレートが名産って村があって、アルがたまにはみんなにお土産を・・・」
同時に話し出し、止まった。
「お土産?アルフォンスから?」
「バレンタイン?オレから?」
かみ合っていない。
「・・・」
「・・・」
しばし沈黙の後、エドワードはあれ?と思う。
ロイは急に表情が営業用になった。
「ん?」
「いや、土産か」
「お返し・・・?」

バレンタイン。
→オレからの告白ってことになって(勘違いだが)。

「君がそんな気を遣う訳がない、とは思ったんだが。思ったから、いやそうか、アルフォンスか」
「もちろん・・・?」

お茶請けじゃない。
→違う目的で自ら買い物。

「そうだな、あの地はチョコレートが有名だな」

そう言ってロイが立ち上がろうとしたのに。

→吟味してオレが好きそうなのを買ってきた。

−−−つまり。
カァ、と頬に熱が集まる。


「−−−大佐」
彼の軍服の裾を掴んで再び隣に座らせた。
「これ、」
菓子の詰まった箱を両手で持ち、
「・・・皆まで言うな。もう分かっている」
ジと男を見上げると、珍しく苦い顔をした。
「大佐、」
「・・・君の察している通りだ」
再び呼ぶと観念したように溜め息をついた。
「・・・大佐・・・」
「こんな情けない形で伝わるとはな。忘れてくれ」

ハハ、と小さく笑い、再び立ち上がろうとした。
が、再びこちらも引き戻して。
「ちょ、・・・んむ?」
「美味い?」
引き戻しざまに菓子をヒトツマミ、男の口に押し込んだ。
「・・・甘い」
モゴモゴとした後、ボソリと男が呟いた。
それから長い指先が、手の中にある菓子箱をやんわりと押し。
「・・・意味は気にせず、ソレはおやつとして食べて・・・、」
「甘い?」
ロイの言葉を遮って問うと、
「・・・うん?あぁ、甘い、な」
少しだけ寂しそうに言うのに。
「・・・・・・それ、オレの気持ち」
と、2個目をロイの口元に持って行った。
「・・・え?」
「ほら、食わない、受け取らないのか?」
グイと、更に口元に押し付けると。
「え、あ、受け取る・・・」
ポカンとしながらも、菓子をくわえた。
「甘いか?」
「ははひ・・・」
食べ終え、不思議な顔をしたままのロイにもうヒトツマミ口元に持って行き。
「あの、鋼の?」
意味が分からないんだが、と言う口にまた押し込み。

「・・・オレも、・・・甘い気持ちになった」
「え・・・!」
笑って言うと、ロイが驚いてくわえていた口から菓子を落とした。

何の気なしにあげたチョコレートだが、空き箱を綺麗に取っている辺りとか、今の、男にしては珍しい位の勘違い振りは、やはり珍しい事にウカれていたらしい事に、普段とのギャップもあって何だか可愛い大人だ、とこの一瞬で思ってしまった。

意識していたか、と聞かれたら、全く、と応えるだろう。
しかし、嫌いか、と言われたら、嫌い、じゃなくて。

恋かは分からないが、堕ちる時は、一瞬で気持ちが堕ちるのだろう。何だか、甘やかな気分になってしまったのだ。


「あーあーもうこぼすなよ、大人なんだから」
コロリと転がった菓子を拾おうとした所にグイと肩を引かれ。
「ちょ、鋼の、その意味、」
「さぁ?」
「さぁ、って君、」
必死になる大人がますます可愛くて、笑う。


もう既に甘い恋に堕ちてしまったのかもしれないけれど、苦味も無いと飽きてしまうから、もう少しだけ内緒にしておこう。

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