「ん」
「・・・・・・・・・何」
執務室を訪れて去ろうとすると、男が目を瞑ってきた。
「何って、今日は特別な日だろう?」
依然目を閉じたまま、機嫌よく話して来る男。
「・・・・・・だから?」
聞かなくても嫌な予感。
「たまには君からのキスが欲しいなぁ、と思って」
ちょんちょん、と自身の唇を指す29歳。
「っそのまま寝ちまえ!」
やはり嫌な予感は的中。
誰がそんな恥ずかしい真似するか!と男を押し退けようとすると。
「ーーー頼むよ」
手を取られて、やはりまだ目を閉じたまま、お願いの形でしゃがんできた。
「っ」
「鋼の」
「〜〜っ」
こんな、下から懇願の形なんて。
ズルい。
「・・・・・・・・・ぜってぇ目、開けるなよ?」
「・・・勿論」
ボソリと言うと、男は嬉しそうに笑った。
***
「アンタなんか知らねぇっ」
「悪かった!だから帰らないでくれ!」
なかなか口付ける勇気が持てずに、数分経過し、ロイがどうしたのか、とソロリと目を開いた瞬間と、エドワードが意を決して口付けた瞬間が重なったのだ。
黙っていればバレなかったのに、目をつぶって照れた顔をしていたエドワードが可愛い、と思わず呟いてしまい、彼の不興を買った。
「もう一生アンタとキスしねぇ!」
「ま、待て、それは・・・!」
ぎゃあぎゃあと口論する2人。
こんな他愛ない日常こそ特別な日。
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ロイの日なんで移動の合間にSS!
時間ないので後でもう少し肉付けしたい・・・!
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