距離(SS)。

距離(SS)。
「鋼の、頬に睫毛がついているぞ」
「へ?」
報告書を出してきた子供に指摘してやると、エドワードは乱暴に頬をこすった。
「そんなに乱暴にするものではないよ」
「んー・・・」
と取ってやるからと手招きすると、子供は頬をいじりながらフラフラと素直に寄ってきた。
金色の睫毛なので良く見ないと見つからない。
「あぁあった」
「ホント?」
摘んでやると自身の頬の辺りを見ようとしてか金瞳がキョロリと動いた。
「・・・君はこの距離は緊張しないのかな?」
「へ?何で?」
「それとも慣れているのかな?」
「は?何が?」
吐息がかかりそうな位の位置にある小作りな顔に問い掛けると、心底不思議そうな顔をした。
「キスの距離じゃないか」
「キス?」
「・・・あぁ、キスの距離と考え付かないと言うことは未経験か」
まだキョトリとした様子の子供に笑うと考えるようにまた金瞳が動いて。
「・・・別に、だって大佐だし。そんなの考えるかよ」
男じゃん、とサラリと言う子供に信用されていると喜びべきなのか。
「そうかな?そう考えるのは君だけかもしれないよ・・・?」
「は・・・?・・・・・・・・・!」
まだ誰のものでもない初めての唇にチュと啄む。
「信用してくれている距離からもう少し親密な距離にしてくれると嬉しいね」
呆然とする子供の頬を撫でて「睫毛取れたよ」と耳元で囁いて離れた。

ようやっと真っ赤になって座り込んだ子供に、次に近付いた時は意識してくれるかな、と楽しみに待つことにした。


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K様、メッセージありがとうございます!戻りましたらお返事させて下さいませ(>_<)


新幹線で思い付きSS。
寝そびれた(笑)。
静岡に着きました!
では旅立ちます〜。

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