そんな訳で(SS)。

そんな訳で(SS)。
今朝の長い道中でネタをほんのり考えてみました。
って言うか帰りも電車止まってるんですけど!
今度は人身事故って!
キィー!
今度は振替で地下鉄に向かったんですが、事故の影響で途中までしか走ってない・・・○| ̄|_
もうイヤだ・・・。


そんな訳で、萌え話で自分のテンション上げようと思います。

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ロイと連れ立って現場検証をしに行った帰り道。事故が重なって駅のコンコースは人で溢れかえっていた。
「うわ、何だこれ!」
「凄いな」
一瞬躊躇したが、そんな迷う時間すら与えられないまま人に流され、幸か不幸か何とか目的のホームには辿り着いた。
・・・辿り着いたと言うか運ばれたと言うか。

一応男とはごった返した駅を見た時に「はぐれた時は現地集合な」と約束を交わしていたが、今のところはぐれずに済んでいる。
・・・ロイが混雑に便乗してガッチリと手を握っているからであるが。

「あー、もう苦しい・・・!」
平均よりちょーっとばかし背がささやかなせいで、新鮮な空気が吸えない。
その様子を見て
「すぐ乗るのは諦めてしばらくお茶か、いっそ泊まってしまって始発で戻るか・・・」
早く移動出来るに越した事は無いが、余りの混雑振りにロイがそんな提案をした所で
「うわっとと!」
「っと!大丈夫か?」
ホームに入ってきた遅れに遅れた列車に我先に乗ろうとした客達に後ろから激しく押された。
自分達よりも遥かに多い人の数と重さには逆らえず自分の意思と反して列車内に押し込まれた。
それから否応なく閉まる扉。
これ以上乗車客が増えると運転に影響が出ると判断されたようだ。
身動きが取れないまま列車がカタンと動き出す。
と、上手く重心移動出来ずに進行方向に満員の乗客が流されて、さながら大波のように襲ってきた。
「わわっ」
「大丈夫か?」
ちょうど進行方向にロイが居たのでもたれかかるようになってしまった。
「あー・・・うん、爪先立ちだけど何とか・・・」
一人だけだと相当重力やらに逆らった立ち方をしているが、主にロイに体重の八割を預けて立てていると言うより支えられている状態だ。
「そうか。こちらは足元はしっかりしているから寄りかかると良い」
ロイの胸辺りに顔を押しつけているので、顔はよく見えず、頭上から声が落ちて来る。
「わり。・・・ん?足元は・・・?」
限定するような言い方をした男に気配だけで首を傾げると、気付いたのか苦笑する気配がした。
「手は向こうに引っ張られてるんだが荷物が引っかかって動かせないんだよ」
ちなみに反対の手も挟まれていて動かすと女性が近くにいるから痴漢になってしまう、と言った。
「あ、そう・・・」
「妬いてくれるのかい?」
呆れた返事をすると男がそんな事を言った。
「してませんー」
「大丈夫、こんなに密着したいのは君だけだ」
耳元に自分だけに聞こえる声で言って来た男を唯一自由になる手で軽くどつく。
「アホ言ってんな。っつーかここで刺客でも来たらアンタ終わりじゃね?」
今日は私服だから軍人だと分かる要素が無いので一安心だが、からかい混じりにへっと笑うと、
「そんなのにやられないよ」
と自信満々に答えた。
とそこでまた列車が揺れ、ますますロイの方に倒れた。
「ふぎゃ!」
「あぁ、全部体重預けて寄りかかりなさい。変に足に力を入れているから重心移動が出来ないんじゃないか?」
余り体勢の変わらなかった男からそんな助言をされる。
「大丈夫だよ」
「良いからこちらに」
促されて。
ふと閃く。
「分かった。・・・じゃあ・・・」
「あぁ。遠慮せず・・・・・・・・・・・・!」
目の前の体に腕を巻き付け、ぎゅうと抱き締める。
「は、鋼の?!」
こんなハグ、自分でも滅多にしないしましてや公共機関なので恥ずかしくなるが、でも、ぎゅうぎゅうに満員列車乗客の誰よりも強く抱き付いた。
「君、どうし・・・」
「・・・密着したいのはオレだけなんだろ?」
「!」
ボソリと彼だけに聞こえる声で言った。
「ちょ、君、・・・・・・・・・あぁ、もう、普段はどんなに頼んでもしてくれないのに、こんな背中に腕を回せない時だけ・・・」
ロイの悔しがる声が聞こえる。
「ざまぁみろ」
「・・・君が一番の刺客だ・・・」
笑うと、嘆いたような声が聞こえて、窮屈なこの状況が楽しくなった。



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満員列車のカップルは迷惑だから止めましょうね!と言ってみる。
いや、昨日、降りたい人が居ようが私達離れません!と言うカップルが近くに居て本当降りてくれと思ってしまったのでした・・・。

さておき、知らない人と密着する不思議な空間よね、満員列車って・・・。

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