至高満月(SS)

「あ、満月・・・」
男の肩越し、窓から見える黄金色に、金の瞳を眇めた。
「うん?」
「今日は・・・中秋の名月、なんだって・・・」
甘い息を吐きながら告げると、男は自身の肩越しを見やった。
「どうりで君がいつも以上に美しい訳だ」
白い枕に散る、月の光を受ける金糸を男は楽しそうに掬った。キラキラと指先から金が零れる。
「なんだよ、それ・・・んっ」
揺さぶられて、洩れるように声が落ちた。月がぼんやりとしだした気がする。
「言葉のままだ」
「・・・・・・ぁ」
白い喉に赤い痕を散らされる。
首もとに埋まった黒い髪を緩く掴んで。
「月見、しねぇの?」
「私の満月はこちらだからな」
「なに・・・」
「惹かれて止まない」
金色の瞳を愛でるように、黒い瞳が覗き込んで来た。
笑みを浮かべたそれは、さながら三日月のよう。
「しかし、君が私より目を奪われるなんて妬けるね。私にも見せてくれ」
「じゃあ・・・」
起き上がろうとした体勢はそのまま入れ替わって。
「や・・・っん」
動きに思わず声が溢れた。
「ちょ、満月見るんじゃなかったのかよ」
朱を帯びてるだろう顔で睨む。
「君が上に」
「え?・・・あっ」
あっと言う間に、下から見上げられる。眼下に夜。
「2つの月を眺められるなんて、贅沢の極みだね」
見事な満月と、煌めく金色の瞳。
満足気な夜空の瞳をした男が嬉しそうに笑った。

「・・・ホント贅沢」
「私にピッタリだろう?・・・愛でさせてくれ」
呆れたように言うと、男は宝物に触れるかのように頬を撫でてきた。
「仕方ねぇな」


笑う月は−−−
至高の満月。


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中秋の名月って事で帰りに月を見て錬成。月が綺麗でした!
・・・写真撮り損ねましたが○| ̄|_ なので去年の中秋の名月。
原稿してると他のSS書きたくなって、思い付くまま三連チャンSSに(笑)。後にすると忘れる(^^;)。

これ、ライン微妙なので後で日記から落とすかも・・・(-_-;)

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