Slow and Steady その後(SS)

Slow and Steady その後(SS)
前回日記で、Slow&Steadyの後日譚が余り思い浮かばない、と書きまして。
後日譚としたらどんな感じかなぁ、と考えて、あのあとチマチマ書いてみました。

サイト止めた時以来の、令和に書き下ろし新作!!!(大袈裟に言ってみた)
ハガレン黄泉展開幕記念に載せます〜。
展覧会初日行かれる方は楽しんでくださいませ!
待ち時間のお供にでも。
(自分は今、会社のお昼休み😇 会社で何をしているのか)

当時、Slow and Steadyのエドが大好きだと感想下さった方、ありがとうございました!
貴女の感想のおかげで、創った世界が生き、またここに生きています。その方々に届くと良いな。
感想嬉しい😌


※過去に読んだ本のイメージを変えたく無い方はスルー頂ければ…。
そしてオフ本の後の小噺なので本を持っていない方には???な感じかもですが、多分、短編読み切りとしても大丈夫かな、と。


+++Slow&Steadyその後

あの日、好き以上の愛を返されて。

それから。

またいつも通りの旅へ。

定期報告に久しぶりに訪れた東方司令部。
(ど、どう言う顔をしたら良いんだ???)
(一応、両想いって事で良いのか?)
(え、両想いってその後どうするんだ…)
ロイの特別になりたい、とは思っていたものの、いざ特別…特別なのか?になった後までは余り考えていなかった。
ただ、好きで、役に立ちたくて、支えたくて、してくれたたくさんの事を返したくて。
側に居られれば良い。
側に居ろ、とも言われたし。
キスも、したし。
…だ、抱かれたし…。
愛も告げられたし…。
恋人…恋人と言う関係なのだろうか。
でもその後の連絡なんかは殆どいつもと変わらなかった。報告して近況話して。後は怪我の有無や変なトラブルが無いかは必ず確認されるようになった位。
うーん、と悩んでいると弟に報告行かないの?と声を掛けられた。
「あ、あぁ、行ってくる」
「行ってらっしゃい。僕は司令室に顔を出してくるね」
「おう」

緊張してノックを逡巡するが、ええいままよ!と入室伺いする。

「入れ」
「よう…」
「鋼の。到着は今日だったのか」
「うん」
前よりは連絡の確認事項が増えたので近々東方司令部に行くこと自体は告げていた。
「アルフォンスはどうした?」
「いま司令室に挨拶行ってる」
「そうか」
ロイの様子はどうなのだろう、とソワソワと思っていたものの、いつもと変わらない様子なので、ガッカリするような安心するような気持ちで一先ずトコトコと執務机に近寄ろうとした。
「…君ね、一応上官の前では上着位脱ぎたまえよ」
「え、あ、ワリィ」
彼の視線が上から下まで動いた後、呆れたようにそんな注意を受ける。時々、たまのタイミングで礼儀作法に苦言されるので今日はそのタイミングなのだろう。そう言えば昔はたまのタイミングでなくしょっちゅう言われていたな、とも思い出す。
添削教室もそうだが、子供相手に本当になんだかんだ良く見てくれていたと思う。
上着とトランクをソファに置き、紙束を持って再び近寄った。
「これ、報告書」
「あぁ、ご苦労。何か進展あったかね?」
「いんや、また空振り」
「そうか。事件に巻き込まれては?」
「…特には」
「強盗を捕まえたそうじゃないか」
「…知ってんのかよ。事件じゃなくて偶発的事故だけどな」
筒抜けかよ、と唇を尖らす。
「当たり前だ。怪我は?」
「電話でも言ったけど無いデス」
最近は怪我の有無を必ず確認されるので、その辺の会話はしている。
「こちらにはどれくらい滞在するのかね?」
「え。あーっと、図書館で資料探し直すから1週間位かな」
返事に対してチラと見られた後、話が変わって滞在予定を確認される。…お茶か、食事に行けるかな?行きたいな。
「そうか。すまないが仕事が立て込んでいるので報告書は後ほど読ませてもらう」
「…了解」
ホンノリ期待したが、どうやら忙しいらしい。仕方ないか。
「何かあるか確認完了したら呼ぶのでそれまでは近くに居なさい」
「へーい」
「宿は?」
「いつものトコ」
「了解した。あと定例の提出書類があるから後で中尉に聞くように」
「うい」
「あと君がいつも使っている資料室は別件で使われているから使えんぞ」
「え、マジ??」
余り人が来ない資料室にいつも陣取って調べものや報告書を書いたりしているのだが、使えないとなるとどうしたものか。
「ええ〜…後で使えそうな部屋ハボック少尉か誰かに聞くかぁ…」
と呟くと、
「…必要時はソコのソファを使うと良い」
「ホント? サンキュ!」
微妙な顔のロイが提案してくれたのに礼を返す。人が来るかもしれない他所で書類や資料を広げるな、と言う事だろう。ありがたく厚意を受け取る。

(ずっと仕事の話だなぁ)
書類を見ながら、事務連絡が続く。
まぁ報告に来たし執務中だから当たり前だが、緊張した意味は無かったな、と思う。

「それから…」
「未だ何かあんのかよ」
だいぶ長くなってきた伝達事項に思わずゲンナリとしてしまう。
「確認事項があるからこちらへ」
ロイの椅子側に呼ばれる。今度は前に出した書類の確認だろうか。何か忘れている事でもあったっけ?と考えながら近寄ると。
「うぇ?!」
椅子に座ったままのロイに抱き締められた。
体勢的にロイに乗り上げるようになってしまう。
「な、」
突然の彼の近さにプチパニックを起こしたまま、ロイの大きな手は肩や腕や背中、上着の隙間から脇腹や腹を撫でて行く。
「ちょ、大佐…??」
大きな掌が太腿や脚のラインも辿る。
「や、ちょっと…」
少しくすぐったいのと、掌の体温があの日を思い出させるので慌ててグイッとロイの胸を押すと、隙間が出来た。
腰に回っていた片手が身体の線をなぞりながら上へ行き、耳の横、後頭部を撫でた後、頬を包み顔をゆっくり撫でた。
至近距離にロイの真面目な顔がある。
どうしたのだろう。
「…大佐?」
「怪我はしていないようだな」
「え。あ、うん。さっき言った…」
「そうだが。君は怪我を隠すから」
目を見つめられて頬をゆるゆると、確認するように柔らかく撫でられる。
「大丈夫…」
「そうか。傷付いてもいないか?」
頬を撫でていた親指がそっと目元を撫でる。
心は傷付いていないか?と言う確認。
「…だいじょうぶ…」
「なら良い」
手を後頭部へ滑らせ、ロイの肩口に引き寄せられ、肩を抱かれやっと満足したように一息つかれた。
思えば、先程の視線もコートを脱ぐように言われたりしたのも無事の確認の為なのかもしれない。


うわ。
うわ、うわ。
なにこれ。

ジンワリと頬が熱くなっていくのが自分でも分かる。
凄く、心配されていた。
ホワリと心が温かくなる。

これだから、この男は…。

暫し、無事を安堵するような肩や背中をさするように撫でながら抱き締める男に身を任す。

「…今夜の予定は?」
「え? 別に…いつも通り…閉館まで図書館…」
「そうか。少し遅くなるが夕食に行こう」
「ん…」
徐に呟いた夕食の誘いに、諾を返してロイの軍服を握る。忙しいからダメかと思っていたから嬉しい。
握った手に大きな手を重ねて来て、手の甲を撫でられ、包みこまれる。
何だか安心する。
だがやがて、手と共に身体をゆっくりと剥がされた。

「…仕事に戻らねば」
「…だな」
ロイがポツリと呟くのに、諾を返す。
忙しいのに時間を作ってくれるロイの邪魔をしないように。
「もう手伝ってはくれないのかい?」
「自力で頑張れよ、給料ドロボー」
からかい口調に憎まれ口を叩いて、こちらからもパッと離れた。

「んじゃ、また後で」
ソファに置いていたコートとトランクを手に執務室の扉へ向かった。
「あぁ、そうだ鋼の」
「ん?」
「忘れ物だ」
ロイが立ち上がり、ドアの前のこちらに寄ってくる。
何か落としたか?と自身を見遣るが特に思い当たるものは無い。
「忘れ物って……」
近寄ってきたロイの影に顔を上げると、
「ん、」
見上げた顎に手を添えられ、口付けが落ちてきた。
「…ん、ぅ……はぁ…」
唇が離れ、息が漏れる。
「な、に…」
「何って。忘れ物だ」
嫣然と微笑んで、
「また後で」
唇を撫でて、執務机に戻るべくロイは踵を返した。


退室して閉じた扉を見つめて。

―――これだからこの男は…!!!

顔を最大限に赤くした子供は廊下に座り込んだ。

〈Fin〉

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