雨が続きますね。
被害が拡がらない事を祈り。
データから発掘した雨のお話。
完結しているから何処かに載せたかなぁ?と調べてみたら、2009年8月のペーパーに載せていたSSのようです。割とガッツリとしたロイエドでした。
昔に手に取って読んで下さった方、ありがとうございました!
覚えていて頂けていたら懐かしんで貰えたら幸い。
これの続編も書いていてここに載せていた模様〜。懐かしい。
+++通り雨(SS)+++
「うっわー、濡れた!」
「凄いな」
雨宿りに使わせて貰った空き家で、まさしく「土砂降り」の体の空を見上げる。
「ったく、大佐と居るとロクな事ねぇ・・・」
視察に付き合わされた片田舎。
周りを見渡してもこの空き家以外何も無い。つまり傘も車も借りられないと言う事だ。25分程この林道を抜ければ駅だが、大雨の中では些か距離がありすぎる。
「トラブルメーカーは君だろう。私の方が巻き込まれた立場だ」
「うるせぇ無能」
「全く口の悪い・・・」
ヒクリとなるロイに構わず、上着を脱いで絞った。
「びっちょびちょ」
また着るの嫌だなぁ、と呟いていると。
「鋼の。尻尾からも滴っているぞ」
横から三つ編みの先を摘まれた。
「尻尾言うな! あー、もう最悪・・・」
三つ編みごと絞るとボタボタっと床に染みを作った。更にギュ、ギュと絞っていくと
「って!」
「どうした?」
「機械鎧に挟んだ・・・」
間接部分に髪が挟まってしまった。地味に痛い。
「あぁ、そのままで。ゴム外すぞ」
後ろ手に絞っていた体勢から動けずに居る自分に、見かねたロイがゴムをそっと引き抜いて、案外丁寧に解し始めた。
「多分取れたと思うぞ。手を動かしてみろ」
「おう」
ゆっくり手を動かすと何にも引っ掛からずに下ろせた。
「わりー。サンキュ」
ずっと不自然な体勢でいたので、手をグルグルと動かしてからロイに振り返った。
「どう致しまして。・・・しかし濡れ髪とは色っぽいね」
「はぁ? 何言ってんだ、アンタ」
ニヤリと笑うロイに半眼で答えた。
「君の金髪は濡れると深い色になるんだな。良い色だ」
「ちょ、触るなっての!」
髪を一房、興味深げに掬うロイの手を押し返す。
「良いじゃないか。白い肌に映えて艶っぽい」
「アホか! 男が色気とか艶っぽいとか言われて嬉しくねぇっての!」
懲りずにまた一房掬うロイに文句を言うと、
「そうかね? 男にも誉め言葉だぞ?」
「何処が・・・」
ゆっくりと、男もまた濡れた黒髪を、ゆっくりとかき上げた。
「・・・」
ポタリ、と黒い細い束から水滴が1つ。
「水も滴る良い男、と言うだろう?」
頬を伝う水滴もツゥと首の喉仏を声に合わせて伝っていく。
「・・・鋼の」
「!」
意図的に落とされた声に、ビクリとして離れようとする。
が、失敗して、壁に押し付けられた。
「ちょ、何だよ! 離せよ!」
「・・・見蕩れた、だろう?」
低い、声で、細めた目で聞かれる。
「っ、んな訳ねー!」
「・・・そうかな?」
またゆっくりと、片手で軍服の上着の留め具を外していく頬張った手。
直視しないように目を逸らした。
「男の色気も、誉め言葉だと思わないかい?」
逸らした首元に手を這わされ。
「離せってば!」
「・・・何をそんなに動揺しているのかな?」
「動揺なんて、」
思わず顔を上げて、失敗した。
獰猛な、獣のような、黒い瞳。
濡れた髪に、頬に伝う水滴に、薄く笑みを浮かべた口許に。
―――目が、離せない。
コクリ、と知らず鳴る喉。
「―――鋼の」
背中まで駆け抜けるような声が、銘を呟いて。
―――近付く。
「たい、ん・・・ぅ」
呼ぼうとした声は封じられて、合わさる唇。
少しの水分を含んで、ひんやりとしていたそれは、次第に熱くなっていった。
「ん、ぁ・・・」
はぁ、と熱い息を吐いて、少し離れた男を見上げた。
「・・・色っぽいな。魅惑的な瞳だ」
満足したようにこちらの濡れた唇を撫でて、目を細めて至近距離で笑う男に。
「・・・どっちが」
憎まれ口を叩いて、噛み付くように口付けた。
男は一瞬驚いたように目を開いたものの、
「・・・負けてくれたなら嬉しいね」
すぐに腰を抱き寄せ、深く口付けて来た。
―――違う。
色気に負けたんじゃない。
―――黒い獣に魅せられた、のだ。
‹Fin›
20090808作成
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