秋来ぬと(SS)

暑かったのに急に気温下がったりで身体が付いていかない今日この頃。
昨日、仕事終わって外出たら寒かったので、帰りの電車でポチポチした突発SSロイエド。
いつもの日常ノンビリです。
後で手直しするやも。


+++秋来ぬと(SS)+++

「へっくし!」
「豪快だな」
帰り道。
ヒュウッと風が通り過ぎた。
今年は今時節になっても気温や日差しが強いなと思う日々が続いたが、今日は夕方から急に冷え込んだ。今年の天気はなかなかに気まぐれのようだ。
「うるせぇ。何か急に冷えてきたな…」
「もう秋の風のようだな」
首を竦めて、吹き込んだ秋風にブルリと震える小さな身体。
「まったく…」
首元から子供へ。
マフラーがフワリと舞った。
「え、別に大丈夫…アンタの方が…」
「良いから…っくし」
驚いたような子供がマフラーを返そうとしたのを止めた所で、こちらも小さくクシャミが出た。
「ほらー。アンタの方が寒がりじゃん」
「大丈夫だ」
ジトリと見上げられるのにニコリと笑みを返す。
「嘘つけ」
「…」
だが逸らされぬ視線に無言で笑みを深めた。
誤魔化す為、と、見破るような視線と寒がりを知ってくれている嬉しさの為。
「ったく」
はー、と息を付いて、チラと金瞳が周囲を探り。
「?…!」
指先の冷えた乾いた手に、子供体温の熱を持ったしっとりとした小さな左手が絡まった。
スポっとこちらのポケットに無造作に突っ込んできて。
「…直ぐ冷えるなんて運動不足なんじゃねーの」
先程までこちらに向けていた視線を逸らして憎まれ口を叩く子供。
「そうかな」
「そうだよ」
「…暖かいなぁ」
「…フン」
寒さだけが原因では無い耳の赤さ。
先程とは違う笑みが浮かんでしまう。
「鋼の」
「んー?」
「鍋料理でも食べて帰らないかい?」
「えー」
「美味しい店があるんだ。…少し歩くが」
ギュウ、とポケットの中の手を握り返す。
もう少し、このまま。
「遠いの?」
「まぁまぁ」
もう少し、どうかな?
「………大佐の奢り?」
「もちろん」
応えを逡巡するように暫し沈黙した子供が、そんな言葉で返してきた。
ポケットの中で親指で手を撫で、指を絡めた繋ぎ方に変える。
「………仕方ねぇな」
「お。鋼の錬金術師殿が釣れた」
ニコリと笑うとジトリと見上げられた。


「オレ、いっぱい食うぞ!」
「知っているよ」
握り返される手。
「財布、空にしてやる!」
「こわいなぁ」
つまりは長く食事を楽しめると言う事だ。
「アンタは余り食うなよ。運動不足で太るぞ」
「こわいなぁ…」

取り留めのない話をしながらノンビリ歩き、風が吹く度に2人で縮こまり手をギュッと握って。

今夜は素敵な秋の夜長となりそうだ。

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