ペーパーSSNo.15の続き(SS)。

ペーパーSSNo.15の続き(SS)。
「まさかお前が失敗するとはなぁ」
「またあの人の一人勝ちかよ!」

ミッションの翌日。
食堂で自分を見つけると囲い込んで結果を聞きに来た2人。
失敗した事を簡単に告げると両少尉は悔しそうに言った。
「あーもう何なんだろうな、あの悪運の良さっつーか自分に降りかかる災厄に気付く勘の良さっつーか」
「まぁ俺達は現場でそれで助かっている部分もあるけどな」
突っ伏すハボックにブレダが苦笑するように呟く。
「今度は成功すると思ったのに・・・」
「で?今度はどんな手で阻止されたんだ?」
「・・・・・・え?」
ギクリ、とするが2人は気付かない。
「またドアノブ溶かして無くなってたとか?いや、それだったらお前なら開けられるもんな」
「あ、いや・・・」
「次回の作戦の参考にするからさ!」
両少尉ににじり寄られて。
「あー・・・・・・えっと、」
本当は忘れ去りたい出来事だが、仕方なくほんの少しだけ口を開く事にする。
「・・・部屋入ってタイマーセットして軍服着た所で隣のクローゼットから出て来やがった」
「侵入は出来たのか!さすがエド!っつか着るまで行ったのか!くそ、後ちょっとだったのに!」
ボソボソと歯切れ悪く顛末を語ると、また両少尉は悔しそうにした。
---が。
「待てよ。タイマーセットして軍服着たなら写真は撮れてるだろ?別に一緒に写ってたらダメな訳じゃなくて、達成出来たらOKな筈だし」
「あ、そうか。おい、エド!カメラはどうした?」
ブレダがハタと(余計な事に)気付き、ハボックが途端に明るい顔になって聴いてきた。
「あ、いや、それは、」
「やぁ諸君。随分ゆっくりとした休憩だが君達は午後巡回ではなかったかな?」
「「准将?!」」
口ごもった所に件の人物が現れ、両少尉が慌てて立ち上がった。
「今回もご苦労だったね。また春の新人入隊期に待っているよ。あぁ今回大健闘だった鋼のには再チャレンジ権をあげよう」
ニコリと無駄に爽やかな笑みを浮かべた男は、勝ち誇った顔で両少尉を仕事へエスコートするような手つきで追いやり、後半はわざわざこちらの顔を覗き込んで意味深な笑みを浮かべた。
「結構です!」
ヒクリとして立ち上がると、素早い動きで手を取られ、自然な力加減でストンと着席させられる。
「放せよ!」
「つれないな。君から夜這いをかけてきてくれたのに」
「かけてねぇよ!」
「写真も分解してしまうし」
「ったりめーだ!」
残念そうに言う男に噛みつく。
あんな写真残しておいたら末代までの恥だ。

ロイからの『ミッション返り討ち』を食らった後に、楽しげにしている男に腹が立ち、彼の隙を見て分解したのは我ながら褒めてやりたい。

・・・それが男の機嫌を損ねたのかもしれないが。

「もう一度撮りたいから是非再チャレンジで来てくれたまえ。君ならいつでも良いぞ」
「するかっ!」
「仕方ないな、では今度は私から君のアパートに・・・」
「いらねぇよ!」
「・・・・・・本当に?」
クスリと笑われ、顔がカァっとなる。
すると嬉しそうに男が艶めいた表情を浮かべ、頬を撫でてきた。
「・・・『続き』は気にならないかい?」
「・・・っ!」
「・・・次の非番の日に君のアパートに行くよ」
「・・・っ、来るなっ!っつーかテメェいつもあぁやって阻止してんのかよっ?!」
パシッと掴まれていたままの手を払い、今度こそ立ち上がる。
今度は男は止める事なかった。
だが、低い低い、自分にだけ聴こえる声で、
「まさか。普段は侵入も許さない。君が初めてだと言ったろう?---君以外ありえない」
囁いた。



食堂を飛び出した、人通りの無い廊下で。
「・・・っくそっ」
鏡で見なくても赤くなっているだろう頬を乱暴にこする。
「・・・何が君以外ありえないだ、あのエロ准将・・・。っつーか続きってなんだよ・・・」


分解した後の事。

ミッション達成の上着は着た後脱ぐことは無かったが。

『鋼の・・・』

押し込まれたクローゼット、
その下の着衣は乱されていたなんて。

言えない。


---

翌日のお話的な。
続き、とあるように最後まで(笑)はされていないので、兄さんは翌日出勤しています(笑)。
まだ増田さんの片思いな感じで、と書くと可愛らしい感じですが(笑)、増田さんは兄さんに嫌われていない妙な自信があるのと、絶対に落とす自信があります(笑)。
・・・兄さん逃げてーーー!

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